「親知らずは抜いた方がいい」と聞いたことがあっても、実際に自分の親知らずをどうすべきか悩む方は多いでしょう。特に、痛みや腫れが出ていない場合、「このままでも大丈夫なのでは？」と判断が難しいかもしれません。しかし、親知らずの生え方や位置によっては、将来的なトラブルにつながることがあります。今回は、親知らずを抜いた方がいいとされる理由や、抜歯を検討すべきサイン、判断の目安について解説します。

1. 親知らずを抜いた方がいいとされる主な理由

親知らずは、上下左右に1本ずつ、合計4本あることが一般的で、多くの人にとって最後に生えてくる永久歯です。しかし、親知らずが原因で問題が起こることも少なくありません。ここでは、親知らずを抜いた方がいいとされる主な理由を解説します。

①むし歯や歯周病のリスクが高まりやすい

親知らずは奥にあるため歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすい場所です。その結果、むし歯や歯周病になりやすく、隣の歯（第二大臼歯）にまで悪影響を及ぼすことがあります。

➁歯並びや噛み合わせが乱れることがある

横向きや斜めに生えてくる状態だと、手前の歯を押して歯並びを乱す原因になることがあります。特に、矯正治療後の方は注意が必要です。

③炎症や腫れなどのトラブルが起こりやすい

生えかけの状態のまま放置すると、親知らずの周囲に細菌が入り込み「智歯周囲炎（ちししゅういえん）」と呼ばれる炎症を起こすことがあります。これが進行すると、頬の腫れや口が開かなくなるほどの痛みにつながるケースもあります。

④顎の骨や神経に影響するリスクがある

まれに、親知らずが顎の骨の中で神経の近くに接している場合があり、抜歯をせずに放置すると神経を圧迫することもあります。将来的な麻痺やしびれを防ぐためにも、早期に状況を把握しておくことが大切です。

⑤口臭の原因となることがある

磨き残しが多くなることで細菌が繁殖し、口臭の原因になることもあります。自分では気づきにくい問題として見過ごされがちですが、周囲への影響も考慮すべきポイントです。

このように、親知らずは放置するとさまざまなトラブルにつながる可能性があります。症状がなくても、一度歯医者で状態を確認し、抜歯が必要かどうか相談してみることをおすすめします。

2. 親知らずの抜歯を検討すべきサインとその背景

親知らずを「今すぐ抜くべきかどうか」は、痛みの有無だけでは判断しづらいこともあります。そこで、次のようなサインが見られる場合には、抜歯を検討する目安になることがあります。

①歯ぐきの腫れや痛みが繰り返し起こる

腫れや痛みは一時的に治まることもありますが、繰り返す場合は慢性的な炎症の可能性があり、抜歯を検討した方がよいケースがあります。

②親知らずの周囲に膿がたまっている

歯ぐきの奥に膿がたまっている、または口臭が強く感じられる場合、細菌感染が進行しているサインかもしれません。放置すると、顎の骨にまで炎症が広がる可能性もあります。

➂手前の歯が押されている感覚がある

圧迫感や歯並びの変化を感じるときは、親知らずが隣の歯を押している可能性があります。特に矯正治療後の方は歯並びが戻ってしまう原因になりやすいため、早めの対応が大切です。

④食べ物が詰まりやすい

親知らずの周りにはすき間ができやすく、食べ物がはさまって取れにくくなることがあります。その結果、むし歯や歯ぐきの腫れをくり返す原因になることもあります。

⑤頭痛や耳の痛みが起きることがある

親知らず周囲の炎症が広がることで、顎関節や耳、頭部にまで影響を及ぼすことがあります。歯の痛みとは一見関係なさそうな不調でも、親知らずが関係していることがあります。

これらの症状がある場合は、早めに歯医者でレントゲン検査を受けて、抜歯が必要かどうかの判断を仰ぐことが重要です。

3. 親知らずの抜歯を判断する際に知っておきたいポイント

親知らずを抜くべきかどうかを判断する際には、単に「痛みがあるかないか」だけでなく、いくつかの重要な要素を総合的に見る必要があります。以下のポイントを理解しておくと、納得したうえで適切な判断がしやすくなります。

①親知らずの生え方や位置

親知らずがまっすぐ生えていて噛み合わせに問題がなければ、抜歯の必要がない場合もあります。一方で、斜めに生えたり歯ぐきの中に埋まっている「埋伏歯（まいふくし）」は、将来のトラブルを防ぐために抜歯が勧められることがあります。

②年齢や骨の状態

10代後半〜20代前半は骨が比較的やわらかく、抜歯後の回復も早いとされています。30代以降になると骨が硬くなり、抜歯後の腫れや痛みが強くなることもあるため、抜歯のタイミングも重要です。

➂神経や血管との位置関係

下顎の親知らずが神経に近いと、抜歯によってしびれなどのリスクが生じることがあります。レントゲンやCTであらかじめ位置を確認しておくことで、リスクを把握しやすくなります。

④将来の歯並びや噛み合わせへの影響

将来的に矯正治療を検討している方、歯並びを安定させたい方にとっては、親知らずを早めに抜くことで後戻りや圧迫を防ぐ効果が期待できます。

⑤症状がない場合の経過観察

症状がなく、まっすぐに生えている親知らずについては、すぐに抜歯せず経過観察が選ばれることもあります。ただし、その場合でも定期的な検診とレントゲン撮影で状態を確認することが大切です。

抜歯の必要性は、歯科医師の診断とあわせて、ご自身の将来設計や口腔内環境を総合的に考慮したうえで判断することが大切です。

4. 親知らず抜歯の際に知っておきたいリスクと注意点

親知らずの抜歯は、多くの方が経験する可能性のある処置です。ただし、リスクや注意点をあらかじめ知っておくことで、不安を軽減し、術後の回復もよりスムーズに進みやすくなります。以下に、親知らず抜歯の際に知っておきたいリスクと注意点を解説します。

①腫れや痛み、内出血の可能性

抜歯後は、数日間腫れや痛みが続くことがあります。特に下顎の親知らずを抜く場合は、腫れが目立つこともあります。

➁口が開けづらくなることがある

抜歯後に「開口障害」と呼ばれる、口が開きにくくなる症状が出ることもあります。これは周囲の筋肉や関節に一時的な炎症が起こるためで、冷却や安静によって徐々に改善していく傾向があります。

➂神経障害の可能性

下顎の親知らずが神経に近い場合、ごくまれに下唇や顎先のしびれが残ることがあります。ほとんどの場合は一時的なものとされていますが、抜歯前にCTなどで位置を確認してもらうとよいでしょう。

④術後の食事や過ごし方

術後数日は、硬いものや熱い食事を避け、なるべく患部を刺激しないようにすることが大切です。また、飲酒や激しい運動は出血の原因になることがあるため、指示があるまでは控えるようにしましょう。

⑤ドライソケットのリスク

抜歯後、血のかたまり（血餅）が取れてしまうと、骨がむき出しの状態になる「ドライソケット」が起こることがあります。強い痛みが長引く場合は、早めに歯医者を受診することが大切です。

これらのリスクや注意点を理解しておくことで、抜歯後の経過を落ち着いて見守りやすくなります。困った症状が出た場合は、我慢せず歯医者に相談しましょう。

5. 名古屋市南区の歯医者 やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療

名古屋市南区の歯医者 やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療

名古屋市南区の歯医者「やくし歯科・矯正歯科」では、一人ひとりの状態に寄り添い、将来を見据えた治療をご提案しています。

親知らずに関するご相談・診断・抜歯治療も幅広く対応しており、他院紹介や外部医師の派遣ではなく、口腔外科の専門知識を持つ院内医師が対応します。

日々様々な症例に向き合い、丁寧で安心できる診療を心がけています。

また、診断の精度や治療の安全性向上のため、医療機器の導入も積極的に行い、小さなお子さま連れの方でも通いやすいように託児サービスも行っています。

＜やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療＞

①的確な診断と分かりやすい説明

親知らずは斜めや横向きに生えているケースも多く、抜歯が必要かどうかを見極めるには正確な診断が不可欠です。当院では、高精度なCTやデジタルレントゲンを使用し、親知らずと周囲の神経や血管との位置関係を立体的に把握し、撮影した画像を使いながら、患者さんに分かりやすく丁寧にご説明します。

➁痛みや不安に配慮した麻酔法

抜歯が必要な場合には、局所麻酔や笑気麻酔に加え、眠ったような状態で抜歯治療を行う静脈内鎮静法が選択できます。

➂「抜かない」という選択肢も

すべての親知らずを抜歯する必要があるわけではありません。まっすぐに生えていて問題がなければ、無理に抜歯せず定期的な経過観察を行うケースもあります。患者さんの将来の健康やライフスタイルを考慮し、柔軟な対応を心がけています。

親知らずの治療は、単に「抜く・抜かない」の判断だけではなく、将来の健康を見据えたトータルな視点が必要です。

まとめ

親親知らずは、症状がなくても将来的にトラブルの原因になることがあり、抜歯を検討する場合もあります。歯ぐきの腫れや痛み、隣の歯への影響などのサインが見られるときは、早めに歯医者を受診しましょう。また、抜歯にはリスクもあるため、歯科医師と相談しながら慎重に判断していくことが大切です。

親知らずの抜歯についてお悩みの方は、名古屋市南区の歯医者、やくし歯科・矯正歯科までお問い合わせ下さい。

監修：やくし歯科・矯正歯科　院長　鬼頭 広章

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所属学会
国際インプラント学会 ICOI　Fellow
日本口腔インプラント学会　会員
日本歯周病学会　会員
日本顎咬合学会　会員
日本デジタル矯正歯科学会　会員
日本臨床歯科学会 SJCD　会員
MID-G　理事
名古屋臨床咬合研究会 NOAH　理事
K-Project　会員

取得資格
USC（南カリフォルニア大学）JAPANProgram 卒業 東京SJCDレギュラーコース修了
OSG（矯正アレキサンダータイポドントコース）修了
ITIインプラントコース ベーシック、アドバンス修了
エキスパートハンズオンCAMLOGコース修了
NOBEL BIOCAREサティフィケート多数取得
インビザライン矯正 ベーシックコース修了
5D アドバンスコース修了
2017年 MID-Gレギュラーコース、マニュアルコース受講
矯正LASコース受講
歯周形成外科マイクロアドバンスコース受講
CSTPC受講
2021年 ODGC (矯正診断コース)修了
アライナーオルソドンティクス6デイズコース
明海大学国際インプラント学会認定コース
ハーバード大学歯学部日本CEコース

認定医
日本デジタル矯正歯科学会
日本顎咬合学会