親知らず抜歯の二回法は本当に低リスク?メリットとデメリットを解説
親知らずの抜歯には「二回法」という方法があるのをご存じでしょうか?一度に抜くのではなく、段階的に処置を進めるのがこの方法の特徴です。腫れや痛みを抑えやすいとされる一方で、「かえって通院の手間が増えるのでは?」と気になる方もいるかもしれません。今回は、親知らず抜歯の二回法について、その仕組みやメリット・デメリット、治療を受ける前に知っておきたいポイントについて詳しく解説します。
1. 親知らずの抜歯方法 二回法とは?

親知らずの抜歯には、通常一度の処置で抜く「一回法」と、複数回に分けて処置する「二回法」があります。二回法はその名の通り、親知らずを一度で抜かず、段階的に進めていく方法です。特に、根の形が複雑だったり、親知らずが骨の中に深く埋まっているようなケースで選ばれることがあります。以下に、親知らず抜歯における二回法の処置の流れを解説します。
①一回目の処置
歯冠(歯の頭の部分)を切断して除去し、歯の根部分を残します。
これにより視野が確保しやすくなり、次回の処置がより正確に行いやすくなります。
➁治癒期間を設ける
歯冠を除去したあとは、歯ぐきや骨がある程度回復するのを待つ期間を設けます。
この治癒期間には個人差がありますが、一般的には数カ月が目安とされています。
➂二回目の処置
残った歯根部分を取り除きます。初回の処置によって視界が確保されているため、より正確に抜歯が進めやすくなります。
親知らずの状態によっては、二回法が最も適切な選択肢になることもあります。
2. 親知らずの抜歯方法 二回法のメリット

二回法の最大の特徴は、「リスクを抑えるために処置を段階的に分ける」ことです。親知らずの抜歯は、周囲の神経や血管、骨の位置関係によってリスクが大きく変わります。
以下に、二回法を選ぶことで得られる主なメリットを解説します。
①神経や血管の損傷リスクを抑えやすい
下顎の親知らずは、下歯槽神経という大きな神経の近くにあることが多く、無理に抜こうとすると神経を傷つける可能性があります。
二回法では段階的に処置を進めるため、神経の位置をより確認しやすくなり、損傷リスクを最小限に抑えることが期待できます。
➁抜歯後の腫れや痛みの軽減につながりやすい
一度にすべてを抜く一回法に比べて、処置ごとの負担が小さくなるため、術後の腫れや痛みが軽く済むことが多いです。
特に、術後の生活への影響をできるだけ抑えたい方に向いているといえるでしょう。
➂歯科医師の操作性向上
歯冠(歯の頭の部分)を除去することで、周囲の骨の状態が把握しやすくなり、歯根の除去をより確実に進めやすくなります。視野が確保されることで、処置中の偶発的なトラブルも起きにくくなります。
④患者さんの不安軽減につながりやすい
長時間の処置は、患者さんにとって精神的なストレスや緊張につながることがあります。
二回に分けることで、1回あたりの治療時間が短くなり、心身への負担も和らぐ場合があります。
⑤抜歯中の出血量を抑えやすい
二段階に分けることで、出血量を抑えやすくなります。
特に出血リスクが高い高齢者や基礎疾患を持つ方にとって、身体への負担を軽減しやすい方法といえるでしょう。
➅感染症のリスクの軽減しやすい
歯ぐきや周囲組織が回復した状態で次の処置に進めるため、細菌の侵入や感染のリスクを抑える効果も期待できます。
このように、二回法は親知らずの抜歯に伴うリスクを減らすための有効な方法の一つです。特にリスクが高いと判断された場合は、二回法を取り入れることを選択肢に入れておくとよいでしょう。
3. 親知らずの抜歯方法 二回法のデメリット

親知らずの抜歯における二回法には多くのメリットがありますが、すべてのケースで適しているわけではありません。
ここでは、二回法を選ぶ際に押さえておきたいデメリットや注意点を解説します。
①通院回数が増える
二回法では抜歯を段階的に行うため、必然的に歯科医院への通院回数が増えます。
スケジュールの調整や仕事・学業への影響が出る場合もあるため、通院の余裕があるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。
➁治療期間が長引く
一回で完了する抜歯に比べ、二回法では数カ月の期間をかけて治療が行われることが一般的です。処置の完了までに時間がかかるため、早く治療を終えたいと考える方には不向きな場合もあります。
③処置後の違和感が長引くことがある
歯冠を除去した状態で数カ月過ごすことになるため、舌で触ったときの違和感や、食事中に不快感を覚える方もいるようです。特に下顎の親知らずでは、感覚の変化が起こることもあるため、気になる症状があれば早めに歯科医師に相談しましょう。
④感染や炎症が途中で起きることもある
一回目の処置後、治癒が十分に進まない場合は、二回目の抜歯までの間に感染や炎症が起こるリスクがあります。
術後の衛生管理やケアが不十分だと、かえってトラブルの原因になることもあるため、注意が必要です。
⑤心理的なストレスが継続する場合がある
治療が長期化することにより、「また抜歯を受けなければならない」という不安や緊張が続いてしまうことがあります。とくに歯科治療に苦手意識がある方にとっては、心の負担になる可能性もあります。
二回法はリスクを軽減しやすい方法ではありますが、こうしたデメリットも理解した上で、自分の生活や体調、希望に合った治療方法を選ぶことが大切です。
4. 親知らず抜歯後の負担を減らすために知っておきたいポイント

親知らずの抜歯は、事前の準備や術後のケアが治療の成功や経過に大きく影響することがあります。ここでは、抜歯後の負担を減らすために押さえておきたいポイントを解説します。
①抜歯前の相談を慎重に行う
親知らずの状態は人それぞれ異なります。抜歯が必要かどうか、どの方法が適しているかは、レントゲンやCT画像を使った詳しい診断で判断されます。
歯科医師としっかり相談し、自分に合った治療方針をはっきりさせておくことが大切です。
➁術前の体調管理を行う
抜歯は小手術に該当するため、体調を整えて臨むことが大切です。処置当日は十分な睡眠をとり、空腹や過労、飲酒は避けるようにしましょう。 体調が万全でないままだと、治りが遅くなったり合併症のリスクが高まる可能性があります。
③処置後のセルフケアを正確に行う
抜歯後は血餅(けっぺい)と呼ばれるかさぶたのような組織が患部を保護します。激しいうがいや飲酒、喫煙などはこれを剥がしてしまい、ドライソケットという強い痛みを伴うトラブルを引き起こすことがあります。処方された薬を正しく服用し、安静を保つことが大切です。
④食事や生活習慣に注意する
術後1〜2日は、柔らかくて冷たい食事(ゼリー・うどん・ヨーグルトなど)を選び、刺激物や硬い食べ物は避けるようにしましょう。また、患部側では噛まないよう注意し、清潔を保つことも重要です。
⑤処置後の経過をしっかり観察する
腫れや痛み、出血などは一定期間見られることがありますが、日を追って軽減していくのが一般的です。数日経っても腫れがひどい、膿が出る、口が開かないなどの異常がある場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。
以上のポイントを押さえることで、抜歯による負担やトラブルの発生を最小限に留めることが期待できます。
5. 名古屋市南区の歯医者 やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療

名古屋市南区の歯医者「やくし歯科・矯正歯科」では、一人ひとりの状態に寄り添い、将来を見据えた治療をご提案しています。
親知らずに関するご相談・診断・抜歯治療も幅広く対応しており、他院紹介や外部医師の派遣ではなく、口腔外科の専門知識を持つ院内医師が対応します。
日々様々な症例に向き合い、丁寧で安心できる診療を心がけています。
また、診断の精度や治療の安全性向上のため、医療機器の導入も積極的に行い、小さなお子さま連れの方でも通いやすいように託児サービスも行っています。
<やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療>
①的確な診断と分かりやすい説明
親知らずは斜めや横向きに生えているケースも多く、抜歯が必要かどうかを見極めるには正確な診断が不可欠です。当院では、高精度なCTやデジタルレントゲンを使用し、親知らずと周囲の神経や血管との位置関係を立体的に把握し、撮影した画像を使いながら、患者さんに分かりやすく丁寧にご説明します。
➁痛みや不安に配慮した麻酔法
抜歯が必要な場合には、局所麻酔や笑気麻酔に加え、眠ったような状態で抜歯治療を行う静脈内鎮静法が選択できます。
➂「抜かない」という選択肢も
すべての親知らずを抜歯する必要があるわけではありません。まっすぐに生えていて問題がなければ、無理に抜歯せず定期的な経過観察を行うケースもあります。患者さんの将来の健康やライフスタイルを考慮し、柔軟な対応を心がけています。
親知らずの治療は、単に「抜く・抜かない」の判断だけではなく、将来の健康を見据えたトータルな視点が必要です。
まとめ
親知らず抜歯の二回法は、抜歯に伴うリスクや負担を抑えるための有効な治療法の一つです。
特に神経が近くにあったり、骨に深く埋まった親知らずに対して効果的で、慎重かつ正確に処置を進めることが期待されます。 ただし、治療期間が長くなったり通院回数が増えたりするデメリットもあるため、自分の生活スタイルや希望に合わせて適切な方法を選ぶことが大切です。
名古屋市南区周辺で親知らずの抜歯についてお悩みの方は、やくし歯科・矯正歯科までお問い合わせください。
監修:やくし歯科・矯正歯科 院長 鬼頭 広章
所属学会
国際インプラント学会 ICOI Fellow
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯周病学会 会員
日本顎咬合学会 会員
日本デジタル矯正歯科学会 会員
日本臨床歯科学会 SJCD 会員
MID-G 理事
名古屋臨床咬合研究会 NOAH 理事
K-Project 会員
取得資格
USC(南カリフォルニア大学)JAPANProgram 卒業 東京SJCDレギュラーコース修了
OSG(矯正アレキサンダータイポドントコース)修了
ITIインプラントコース ベーシック、アドバンス修了
エキスパートハンズオンCAMLOGコース修了
NOBEL BIOCAREサティフィケート多数取得
インビザライン矯正 ベーシックコース修了
5D アドバンスコース修了
2017年 MID-Gレギュラーコース、マニュアルコース受講
矯正LASコース受講
歯周形成外科マイクロアドバンスコース受講
CSTPC受講
2021年 ODGC (矯正診断コース)修了
アライナーオルソドンティクス6デイズコース
明海大学国際インプラント学会認定コース
ハーバード大学歯学部日本CEコース
認定医
日本デジタル矯正歯科学会
日本顎咬合学会