「親知らずが生えてきたけど、このままにしておいても大丈夫？」「いつか抜かなければいけないの？」と不安に感じたことがある方もいるかもしれません。

親知らずは生え方や状態に個人差が大きく、適切に対応しないとトラブルの原因になることもあります。とはいえ、すべての親知らずをすぐに抜かなければならないわけではありません。抜歯の必要性は、いくつかの基準やタイミングを踏まえて慎重に判断されます。

今回は、親知らずの抜歯について迷っている方に向けて、その必要性や適切なタイミング、注意点を詳しく解説します。

1. 親知らずはいつ抜くべき？

親知らずを抜くかどうかの判断には、年齢やライフステージが大きく関係します。適切なタイミングを逃すと、抜歯が難しくなったり、術後の回復に時間がかかることもあるため、計画的に時期を考えることが重要です。以下に、親知らずの抜歯に適したタイミングについて解説します。

①10代後半～20代前半が最も適した時期

一般的に親知らずの抜歯に最も適しているのは、親知らずが生え始める10代後半から20代前半といわれています。この時期は顎の骨が柔らかいため、抜歯の負担が比較的少なく、術後の腫れや痛みも軽く済む傾向があります。

➁根が完成する前が理想的

一般的に親知らずの歯根は、20代前半までに完成するといわれています。根が完成する前の段階では、歯が顎の骨にしっかり固定されていないことが多く、そのため抜歯時の外科的な負担が比較的少なくなると考えられています。

➂妊娠や留学、就職前などのライフイベントを控えている場合

妊娠中や留学、就職など、生活環境が大きく変わる前に親知らずの処置を済ませておくと、治療の制限や通院の難しさを避けやすくなります。特に妊娠中は、レントゲン撮影や投薬に制限があるため、可能であれば事前に抜歯を検討しておくとよいでしょう。

④矯正治療を始める前

矯正治療を計画している場合、親知らずが歯の移動を妨げる可能性があるため、事前に抜歯が必要と判断されるケースがあります。治療計画の中で、抜歯のタイミングをしっかり確認することが大切です。

⑤親知らずが部分的に顔を出したとき

親知らずが歯ぐきから少しだけ顔を出している状態は、完全に埋まっている場合よりも炎症を起こしやすいことがあります。違和感や腫れを感じたら、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

⑥将来的なリスクを考慮して予防的に

今は症状がなくても、将来的にむし歯や歯並びの乱れを引き起こすリスクが高いと判断される場合、早期の抜歯が選択されることがあります。これは予防的抜歯と呼ばれ、将来的なトラブルを防ぐため、特に若いうちに検討されることが多い方法です。

親知らずは、症状が出る前に適切なタイミングで対応することが大切です。特に若いうちに歯科医院で状態をチェックし、今後の方針を立てておくことが、将来のトラブルを防ぐことにつながるでしょう。

2. 親知らずは抜くべき？抜歯の基準とは

親知らずは、状態によっては必ず抜かなければならないわけではありません。では、どのような基準で抜歯が必要と判断されるのでしょうか。ここでは、抜歯の必要性を判断する主なポイントについて解説します。

①痛みや腫れが繰り返される場合

親知らず周囲の歯ぐきがたびたび腫れたり、痛みが生じる「智歯周囲炎」がある場合、抜歯が推奨されることがあります。細菌の繁殖による炎症が慢性化すると、顎の骨や他の歯にまで影響を及ぼす可能性があります。

➁むし歯や歯周病のリスクが高い場合

奥にある親知らずは歯磨きがしづらく、むし歯や歯周病になりやすい部位です。放置すると隣の歯までむし歯が進行することもあり、抜歯によって口腔内の清掃性を高めることが期待できます。

➂隣の歯を圧迫している場合

斜めや横向きに生えている親知らずが、隣の歯にぶつかって圧迫していると、歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたケースでは、他の歯を守る目的で抜歯が検討されることがあります。

④矯正治療の支障となる場合

歯の移動に支障をきたすような位置に親知らずがある場合、矯正計画に影響を与えるため、抜歯が選択されることがあります。抜歯をすることで、歯列全体のバランスが整いやすくなります。

⑤嚢胞などの病変が見つかった場合

親知らずの周囲に嚢胞（のうほう）や腫瘍が確認された場合は、病気の進行を防ぐために抜歯が必要になることがあります。これらの病変はレントゲンやCT検査で初めて発見されることが多いため、定期的な検査を受けることが大切です。

⑥症状がなくても問題が予測される場合

現時点で痛みや違和感がなくても、将来的にトラブルが起こる可能性があると判断される場合には、予防的に抜歯を勧められることがあります。たとえ親知らずが完全に埋まっている「埋伏歯」であっても、周囲の歯や歯並びに悪影響を及ぼすおそれがあれば、抜歯の対象となることがあります。

親知らずの抜歯判断には、視診だけでなくレントゲンやCTなどの画像診断が欠かせません。判断に迷う場合は歯科医師としっかり相談し、自分の状況やライフスタイルに合った無理のないタイミングで抜歯を検討しましょう。

3. 親知らずの抜歯のタイミングを見逃さないために

親知らずの抜歯は、症状がひどくなる前や、まだ症状が出る前の段階で対応するのが理想的です。適切なタイミングを逃さないために、押さえておきたいポイントを以下に解説します。

①軽い違和感が出た時点で歯科医院を受診する

奥歯に違和感や軽い痛みが出始めたときは、親知らずが動き出したサインかもしれません。まだ痛みが強くない段階で診察を受けておくことで、炎症や腫れが悪化する前に処置の計画が立てられるでしょう。

➁腫れや炎症を繰り返している場合は早めの対処が必要

腫れや炎症を繰り返している場合は、早めの対処が望ましいケースもあります。親知らずの周囲が何度も腫れたり、痛みが頻繁に起こると、再発のリスクが高まることがあります。

③痛みはないが、レントゲンで問題が確認された場合

症状がなくても、歯科医院でのレントゲン検査で「歯並びに悪影響を与える」「歯ぐきに埋まった嚢胞が見つかる」などの異常が確認された場合には、早めに抜歯を検討することがあります。

④矯正治療やインプラント治療の前に確認を

親知らずが矯正計画の妨げになっていたり、将来的なインプラントのスペースに影響する可能性がある場合も、早めの判断が大切です。

⑤症状がなくても定期的にチェックする

抜かずに様子を見る方針をとる場合でも、定期的なレントゲン撮影や口腔内のチェックで親知らずの状態を把握し、必要なときにスムーズに抜歯へ移行できる準備をしておくとよいでしょう。

「今は大丈夫」と思っていても、親知らずの状態は時間の経過とともに変化することがあります。少しでも気になることがあれば、早めに歯科医師に相談しましょう。

4. 親知らず抜歯前に確認したいこと

親知らずの抜歯は、一般的な歯科治療に比べて処置が複雑になることがあります。そのため、抜歯前にいくつかの大切なポイントを確認しておくことで、治療をスムーズに進めるだけでなく、術後のトラブル予防にもつながるでしょう。ここでは、親知らずの抜歯前に押さえておきたいポイントを解説します。

①画像検査の実施有無を確認する

親知らずの根の形や、神経との位置関係を正確に把握するには、レントゲンやCTによる画像検査が欠かせません。抜歯の難易度やリスクは、この検査結果によって大きく変わる可能性があるため、事前に画像検査が行われるかを確認するとよいでしょう。

➁治療の流れやリスクについて説明があるか

抜歯の方法や術後の経過、考えられるリスクについて丁寧な説明があるかどうかも大切です。不明点がある場合は遠慮なく質問し、納得したうえで治療を受けるようにしましょう。

③術後の対応について確認しておく

抜歯後は、腫れや痛み、出血などの症状が出ることがあります。あらかじめアフターケアの流れや、緊急時の対応方法を確認しておくことで、万が一のトラブルにも落ち着いて対処しやすくなるでしょう。

④通院のしやすさを考慮する

抜歯後は、経過観察や抜糸などで数回通院が必要になることがあります。治療期間中に無理なく通える場所にあるかどうかも、検討しておきたいポイントといえるでしょう。

⑤自身の体調や予定を見直す

抜歯後は、強い運動や旅行、重要な予定などを避けたほうがよいとされています。体調が整っていて、ライフスケジュールに余裕のあるタイミングで治療を検討するのが望ましいでしょう。

事前に準備や確認をしっかり行うことで、親知らずの抜歯も納得して受けやすくなります。治療に不安を感じている方ほど、慎重な判断と準備が大切です。

5. 名古屋市南区の歯医者 やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療

名古屋市南区の歯医者「やくし歯科・矯正歯科」では、一人ひとりの状態に寄り添い、将来を見据えた治療をご提案しています。

親知らずに関するご相談・診断・抜歯治療も幅広く対応しており、他院紹介や外部医師の派遣ではなく、口腔外科の専門知識を持つ院内医師が対応します。

日々様々な症例に向き合い、丁寧で安心できる診療を心がけています。

また、診断の精度や治療の安全性向上のため、医療機器の導入も積極的に行い、小さなお子さま連れの方でも通いやすいように託児サービスも行っています。

＜やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療＞

①的確な診断と分かりやすい説明

親知らずは斜めや横向きに生えているケースも多く、抜歯が必要かどうかを見極めるには正確な診断が不可欠です。当院では、高精度なCTやデジタルレントゲンを使用し、親知らずと周囲の神経や血管との位置関係を立体的に把握し、撮影した画像を使いながら、患者さんに分かりやすく丁寧にご説明します。

➁痛みや不安に配慮した麻酔法

抜歯が必要な場合には、局所麻酔や笑気麻酔に加え、眠ったような状態で抜歯治療を行う静脈内鎮静法が選択できます。

➂「抜かない」という選択肢も

すべての親知らずを抜歯する必要があるわけではありません。まっすぐに生えていて問題がなければ、無理に抜歯せず定期的な経過観察を行うケースもあります。患者さんの将来の健康やライフスタイルを考慮し、柔軟な対応を心がけています。

親知らずの治療は、単に「抜く・抜かない」の判断だけではなく、将来の健康を見据えたトータルな視点が必要です。

まとめ

親知らずの抜歯では、タイミングと判断が非常に重要です。特に10代後半から20代前半の若い時期は、顎の骨が柔らかく比較的回復も早いため、抜歯に適した時期とされています。痛みや腫れなどの症状がある場合だけでなく、将来的なトラブルを防ぐために早めに対応することも選択肢の一つです。まずは歯医者でレントゲン検査を受け、抜歯の必要性や時期をしっかり確認することが第一歩となります。

名古屋市南区周辺で親知らずの抜歯についてお悩みの方は、やくし歯科・矯正歯科までお問い合わせください。

監修：やくし歯科・矯正歯科　院長　鬼頭 広章

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所属学会
国際インプラント学会 ICOI　Fellow
日本口腔インプラント学会　会員
日本歯周病学会　会員
日本顎咬合学会　会員
日本デジタル矯正歯科学会　会員
日本臨床歯科学会 SJCD　会員
MID-G　理事
名古屋臨床咬合研究会 NOAH　理事
K-Project　会員

取得資格
USC（南カリフォルニア大学）JAPANProgram 卒業 東京SJCDレギュラーコース修了
OSG（矯正アレキサンダータイポドントコース）修了
ITIインプラントコース ベーシック、アドバンス修了
エキスパートハンズオンCAMLOGコース修了
NOBEL BIOCAREサティフィケート多数取得
インビザライン矯正 ベーシックコース修了
5D アドバンスコース修了
2017年 MID-Gレギュラーコース、マニュアルコース受講
矯正LASコース受講
歯周形成外科マイクロアドバンスコース受講
CSTPC受講
2021年 ODGC (矯正診断コース)修了
アライナーオルソドンティクス6デイズコース
明海大学国際インプラント学会認定コース
ハーバード大学歯学部日本CEコース

認定医
日本デジタル矯正歯科学会
日本顎咬合学会