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歯周組織再生療法 

歯周組織再生療法 


諦めかけていた歯にもう一度未来を

「歯周病で一度溶けてしまった骨はもう二度と元には戻らない」 これまで歯科医療の世界ではそれが常識とされてきました。歯を支える土台である骨を失いグラグラになってしまった歯は、やがて抜歯するしかない。そう説明を受け、やりきれない想いを抱えてこられた方も少なくないかもしれません。

しかしその常識はもはや過去のものとなりつつあります。

近年の歯周病学の進歩は目覚ましく、失われてしまった歯周組織をご自身の体が本来持つ「再生する力」を利用して、もう一度作り直すための治療法が確立されてきました。それが「歯周組織再生療法」です。

「もう抜くしかない」と諦めかけていたあなたの大切な歯。 その歯にもう一度しっかりと噛める未来を取り戻す。 この治療法はそんな可能性に満ちた、希望の光となる先進的なアプローチです。このページでは歯周組織再生療法について、私たちの想いと共にご紹介します。

歯周組織再生療法とは

歯を支える「土台」を、もう一度作り直す治療

私たちの歯はただ顎の骨に埋まっているわけではありません。歯は「歯周組織」と呼ばれる非常に精巧な複合組織によって支えられています。

歯周組織の構造

歯周組織は主に以下の4つの要素で構成されています。

歯周組織|やくし歯科
  • 歯槽骨(しそうこつ)
    歯の根を支える土台となる顎の骨です。
  • 歯根膜(しこんまく)
    歯の根と歯槽骨の間にある薄いクッションのような膜です。噛んだ時の力を和らげたり、歯に栄養を送ったりする重要な役割を担います。
  • セメント質
    歯の根の表面を覆っている骨に似た硬い組織です。歯根膜の線維がこのセメント質にしっかりと付着しています。
  • 歯肉(しにく)
    いわゆる「歯ぐき」です。これらの組織を外部の刺激から守っています。

歯周病とはこれらの歯周組織が細菌によって複合的に破壊されていく病気なのです。健康な歯が頑丈な鉄筋コンクリートの建物だとすれば、歯周病はその基礎や柱が少しずつ蝕まれていくようなものです。

歯周組織再生療法は単に失われた骨を補うだけの治療ではありません。破壊されてしまったこれらの組織全体の構造的な再生を促し、歯を支える「土台」そのものをもう一度生物学的に健康な状態へと作り直すことを目指す非常に高度な治療法です。

なぜ再生が可能になるのでしょうか

不思議に思われるかもしれません。なぜ一度失われた組織がまた元のように再生できるのでしょうか。 私たちの体には傷を治そうとする素晴らしい「自己治癒能力」が備わっています。しかし歯周病で組織が失われた場合、何もしなければその治癒能力は正常に働きません。

歯を支える骨が再生するには数ヶ月という長い時間が必要です。一方で表面にある歯ぐき(歯肉)はそれよりもずっと速いスピードで治っていきます。そのため再生療法を行わずに歯周病の手術をすると、骨が再生するためのスペースに治りの速い歯ぐきが先に入り込んでしまい、結果として骨は再生されません。

そこで歯周組織再生療法では、骨が再生するための「環境」を人為的に整えてあげる必要が出てきます。

再生を導くための、特殊な材料

私たちは患者様のお口の状態に合わせて、主に以下のような方法を組み合わせて歯周組織の再生を促します。

GTR法(組織再生誘導法)

これは骨が再生してほしい場所に特殊な人工膜「メンブレン」を設置する方法です。このメンブレンが「壁」の役割を果たし、治りの速い歯ぐきが入り込んでくるのを防ぎます。そうして確保されたスペースの中で時間をかけてゆっくりと、骨や歯根膜といった本来あるべき組織が再生していくのを待つのです。まるで植物を育てるためのビニールハウスを設置するようなイメージです。

エムドゲイン®・ゲル法

これは豚の歯の組織から抽出した「エムドゲイン®・ゲル」というタンパク質を主成分とした薬剤を、手術で綺麗にした歯の根の表面に塗る方法です。このタンパク質は、私たち人間の歯が子どもの頃に生える際、歯周組織を形成するために重要な役割を果たしたものです。その「歯を生やす力」を応用し失われた組織の再生を促します。

これらの方法はどちらか一つを用いることもあれば、患者様のお口の状態や失われた骨の形などに応じて両方を組み合わせて行うこともあります。

やくし歯科・矯正歯科の歯周組織再生療法

ユニット|やくし歯科

成功へと導く私たちのこだわり

歯周組織再生療法は非常に優れた治療法ですが、残念ながら全ての患者様に適用できるわけではありません。また成功させるためには非常に高度な技術と緻密な治療計画が不可欠です。
私たちはこの希望ある治療の成功率を最大限に高めるため、独自のこだわりを持って臨んでいます。

治療の成否は術前の準備で決まります

再生療法を成功させるための大前提。
それはお口の中が徹底的にクリーンな状態であることです。
歯周病の原因である細菌が残ったままでは、どんなに優れた再生療法を行っても成功はおろか再び感染を広げてしまうことになりかねません。
汚れた土地に立派な家を建てることはできないのです。

超音波スケーラー|やくし歯科

そのため私たちは再生療法を行う前に、まず徹底的な「歯周基本治療」を行います。
歯科衛生士による専門的なクリーニング(スケーリングやSRP)はもちろん、患者様ご自身による日々の歯磨きの技術を高めていただくための丁寧なブラッシング指導に一切の妥協はしません。
お口の中の炎症が完全になくなり歯周病菌がコントロールされた最適な環境が整って初めて、私たちは再生療法へとステップを進めます。

マイクロスコープのよる精密外科

マイクロスコープ|やくし歯科

歯周組織再生療法は歯ぐきを開いて行う「歯周外科手術」の一環として行われます。私たちはこの繊細な手術の全工程をマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いて行います。

マイクロスコープによって拡大された明瞭な視野のもとでは、感染した組織を確実に取り除き健康な組織へのダメージを最小限に抑えることができます。切開する範囲や骨を削る量を必要最小限に留め、そして髪の毛より細い糸で繊細に縫合する。こうした「最小侵襲手術(M.I.S.)」を可能にすることが術後の痛みや腫れを軽減し、傷口の美しい治癒、ひいては再生療法の成功率を高めることに直結します。

お口全体の調和を考え抜いた治療計画

私たちはただ一本の歯の周りの骨を再生させることだけをゴールとはしません。なぜその歯の骨だけが集中的に失われてしまったのか。そこには噛み合わせのバランスの不調和や、特定の歯に過度な負担がかかっているといった隠れた原因が存在することが少なくありません。

私たちはCTなどを用いた精密な検査に基づき、お口全体の噛み合わせのバランス、隣の歯や向かい合う歯との関係性までを考慮した総合的な治療計画を立案します。再生療法と並行して噛み合わせの調整や矯正治療などを組み合わせることもあります。お口全体の健康と調和を取り戻して初めて、再生した組織は長期的に安定するのです。

再生療法を受けるためのステップ

CT セファロ|やくし歯科

実際に歯周組織再生療法を受ける際の一般的な治療の流れをご紹介します。

ステップ1:初診・カウンセリング

まず患者様のお悩みやご希望を詳しくお伺いします。歯周病に関する不安などどんなことでもお話しください。

ステップ2:精密検査と治療計画の立案

レントゲンやCT、歯周ポケット検査など現在の状態を正確に把握するための精密検査を行います。その結果を基に再生療法の適応となるか、どのような方法が最適かを判断し治療計画をご説明します。

ステップ3:歯周基本治療

手術の成功率を高めるためまずはお口全体のクリーニングとブラッシング指導を行います。歯ぐきの炎症がなくなり清潔な状態になるまで、数回に分けて丁寧に行います。

ステップ4:歯周外科手術および再生療法

お口の中が最適な状態になったらいよいよ手術を行います。麻酔をしっかりと効かせますので手術中に痛みを感じることはほとんどありません。マイクロスコープ下で歯ぐきを丁寧に開き、歯の根の表面を徹底的に清掃した後、GTR膜やエムドゲイン®・ゲルなどの再生材料を適用し精密に縫合します。手術時間は範囲にもよりますが1〜2時間程度です。

ステップ5:術後の消毒・抜糸

手術の翌日あるいは数日後に一度ご来院いただき傷口の消毒を行います。その後約1〜2週間で抜糸となります。

ステップ6:治癒期間

ここから骨や歯根膜が再生するための大切な治癒期間に入ります。個人差はありますが組織が安定するまでには数ヶ月から半年ほどの時間が必要です。この間再生中の組織に過度な負担がかからないよう定期的に検診にお越しいただきます。

ステップ7:最終的な評価とメンテナンス

治癒期間を経てレントゲンなどで組織の再生が確認できたら、治療は一つの区切りを迎えます。その後はこの素晴らしい結果を生涯にわたって維持していくための定期的なメンテナンスへと移行します。

再生した組織を生涯にわたって守り続けるために

私たちの7つのこだわり|やくし歯科

歯周組織再生療法によって一度は失われたはずのあなた自身の骨や歯根膜が、再び歯を支え始めます。これは歯科医療におけるまさに奇跡のような出来事です。

しかしこの治療の成功は決して永遠を保証するものではありません。 再生した組織はいわば「生まれたての赤ちゃん」のようです。非常に繊細で再び歯周病菌に晒されれば、健康な組織以上にたやすく破壊されてしまいます。

せっかく取り戻した大切な「土台」をこの先ずっと守り続けていくために、最も重要な鍵を握るのは治療後の「メンテナンス」です。

ご自身で行う毎日の丁寧なブラッシング。 そして私たち専門家による定期的なプロフェッショナルケア。

この二つが車の両輪となって初めて再生した組織は成熟し、長期的に安定してあなたのお口の中で力強く機能し続けることができます。私たちは治療を終えた後もあなたの生涯のパートナーとして、再生した大切な組織を責任を持って共に守っていく覚悟です。

あなたの歯には、まだ未来があります

治療|やくし歯科

歯周病は静かにそして容赦なく、あなたの歯を支える土台を奪っていく病気です。しかし歯周組織再生療法は、その失われた土台を取り戻し抜歯という運命を変える可能性を秘めた素晴らしい治療法です。

もちろん全てのケースで適用できるわけではありません。しかしもしあなたが「歯がグラグラする」「もう抜くしかないかもしれない」と深く悩んでいるのなら、どうか諦めないでください。まずはご自身の現在の状態を正確に知ることから始めてみませんか。

私たちはあなたの歯を守るためのあらゆる可能性を決して諦めません。 どうぞお気軽に私たちやくし歯科・矯正歯科にご相談ください。

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