親知らずはなぜ生える?その原因とメカニズム、注意点を解説
親知らずは、大人になってから突然生えてくることがあり、「なぜ今さら?」と感じる方も多いかもしれません。
生えるときに痛みや腫れが出ることも多く、抜歯の必要性が出てくるなど、トラブルの原因になりやすい歯でもあります。
しかし、親知らずがどうして生えてくるのか、その仕組みを正しく知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。
今回は、親知らずが生える時期や名前の由来、原因とメカニズム、そして生えてくるときの注意点について解説します。
1. 親知らずが生える時期と名前の由来

親知らずは、正式には「第三大臼歯」と呼ばれ、奥歯のさらに奥に生えてくる永久歯です。
①生える時期
親知らずが生えてくるのは、おおよそ17歳から25歳頃が多いとされています。この時期は身体の成長がほぼ完了しており、基本的には他の永久歯もすでに生えそろっています。つまり、成長期を過ぎてから最後に生える歯が親知らずなのです。
➁名前の由来
「親知らず」という名称は、昔の日本においては20歳前後で子どもが独立し、親元を離れて暮らすことが多かった時代背景に由来します。つまり、親元にいない頃に生えてくる歯だから「親が知らない歯=親知らず」と呼ばれるようになったとされています。
③最大4本生えることがある
親知らずは上下左右に1本ずつ、計4本生えることがありますが、すべての人が4本生えるわけではありません。1〜2本だけ生える方もいれば、まったく生えない方もいます。生える本数や位置には個人差があり、遺伝の影響もあるといわれています。
生える時期や名前の由来を知ることで、親知らずがどのような歯かを理解しやすくなるでしょう。
2. 親知らずが生える原因とメカニズム

親知らずが生えてくるのには、進化の過程や、現代人の顎の構造が大きく関係しているとされています。
①祖先からの名残
親知らずは、もともと人類の祖先が硬い食べ物(木の根、肉など)を噛むために必要だった奥歯のひとつとされています。かつては顎が大きく、すべての歯が無理なく並ぶスペースがありました。しかし、現代人は食生活の変化により顎が小さくなってきたため、親知らずが生えるスペースが不足しがちになっています。
②退化して生えない場合もある
現代では、親知らずがそもそも生えてこない人も増えているようです。これは「退化の一例」と考えられており、使われなくなった器官が少しずつ小さくなったり消えていく現象のひとつとされています。
➂骨の中で歯が形成される
親知らずは、顎の骨の中でゆっくりと形成され、タイミングを見て表に出てくることがあります。しかし、スペースが十分でない場合には斜めに生えたり、途中で止まることもあります。このような状態は「埋伏歯(まいふくし)」と呼ばれています
④生え方によって問題が起こることもある
まっすぐ生えれば問題は少ないとされていますが、斜めや横向きに生えると、隣の歯を押したり歯ぐきに炎症が起きたりすることがあります。これにより、親知らずの痛みや腫れにつながる場合もあります。
このように、親知らずが生える背景には、人類の進化や顎のスペースの関係が影響していると考えられます。
3. 親知らずが生えるときに注意したいポイント

親知らずが生えてくるときは、さまざまなトラブルの引き金になることがあります。以下に、注意すべき代表的なポイントを解説します。
①炎症や腫れが起きやすい
親知らずの周囲に歯ぐきがかぶっている場合、その部分に汚れがたまりやすく、細菌が繁殖して炎症を引き起こすことがあります。これを「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼び、痛みや腫れ、口が開けにくいといった症状を伴うこともあります。
②むし歯や歯周病のリスクが高まりやすい
親知らずは一番奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい環境です。そのため、むし歯や歯周病のリスクが高くなることがあります。また、隣の第二大臼歯にも影響が出る可能性があります。
➂隣の歯を押して歯並びに影響することも
親知らずが斜めや横向きに生えてくると、隣の歯を押してしまい、前歯の歯並びに影響を与えることがあります。特に矯正治療後は、親知らずの影響による後戻りに注意が必要です。
④頭痛や顎の痛みを引き起こすことがある
親知らずが骨や神経に圧力をかけることで、顎関節や筋肉に負担がかかり、頭痛や顎の痛みにつながることがあります。こうした痛みは、親知らずが原因だと気づきにくい場合もあります。
痛みがない場合でも、定期的にレントゲン検査などで親知らずの状態を確認することが大切です。
4. 親知らずの抜歯が必要になるケースとは?

親知らずは必ずしも抜歯が必要というわけではありませんが、次のようなケースでは抜歯が推奨されることがあります。
①痛みや腫れを繰り返す場合
親知らずによる痛みは、抗生物質や消毒で一時的に治まっても、再発することがあります。そのため、智歯周囲炎を繰り返す場合は、根本的な対処として抜歯が検討されることもあります。
➁むし歯や歯周病が進行している場合
親知らずや隣の歯がむし歯や歯周病になっていると、治療が難しいケースもあります。奥にあるため、治療器具が届きにくく、さらに症状が進行しやすい傾向があります。
➂まっすぐ生えていない場合
横向きや斜めに生えている親知らずは、周囲の組織や歯に悪影響を及ぼすことがあります。将来的なトラブルを避けるために、症状が出ていない段階でも予防的に抜歯を行うことがあります。
④矯正治療やインプラント前に抜歯が必要な場合
歯列矯正を始める前や、インプラント治療を行う前に、親知らずが邪魔になることがあります。計画的な処置として、抜歯が推奨されることもあります。
⑤上顎洞や神経への影響が懸念される場合
親知らずの根が上顎洞(鼻の奥の空洞)や下顎の神経に近い場合、炎症や神経障害につながることがあります。このような位置にある場合は、CT画像などで慎重に診断し、必要に応じて抜歯が検討されることもあります。
抜歯は必ずしも必要なわけではありませんが、将来的な口腔の健康やトラブルの回避を考え、歯科医師と相談して判断するとよいでしょう。
5. 名古屋市南区の歯医者 やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療

名古屋市南区の歯医者 やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療
名古屋市南区の歯医者「やくし歯科・矯正歯科」では、一人ひとりの状態に寄り添い、将来を見据えた治療をご提案しています。
親知らずに関するご相談・診断・抜歯治療も幅広く対応しており、他院紹介や外部医師の派遣ではなく、口腔外科の専門知識を持つ院内医師が対応します。
日々様々な症例に向き合い、丁寧で安心できる診療を心がけています。
また、診断の精度や治療の安全性向上のため、医療機器の導入も積極的に行い、小さなお子さま連れの方でも通いやすいように託児サービスも行っています。
<やくし歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療>
①的確な診断と分かりやすい説明
親知らずは斜めや横向きに生えているケースも多く、抜歯が必要かどうかを見極めるには正確な診断が不可欠です。当院では、高精度なCTやデジタルレントゲンを使用し、親知らずと周囲の神経や血管との位置関係を立体的に把握し、撮影した画像を使いながら、患者さんに分かりやすく丁寧にご説明します。
➁痛みや不安に配慮した麻酔法
抜歯が必要な場合には、局所麻酔や笑気麻酔に加え、眠ったような状態で抜歯治療を行う静脈内鎮静法が選択できます。
➂「抜かない」という選択肢も
すべての親知らずを抜歯する必要があるわけではありません。まっすぐに生えていて問題がなければ、無理に抜歯せず定期的な経過観察を行うケースもあります。患者さんの将来の健康やライフスタイルを考慮し、柔軟な対応を心がけています。
親知らずの治療は、単に「抜く・抜かない」の判断だけではなく、将来の健康を見据えたトータルな視点が必要です。
まとめ
親知らずは、現代人の顎には十分なスペースがないことが多く、斜めに生えたり、炎症やむし歯の原因になったりすることがあります。
生える時期やメカニズムを理解したうえで、異常が見られる場合には早めに歯医者を受診するとよいでしょう。
痛みが出る前から状態をチェックしておくことで、将来的なトラブルをある程度防ぐことも期待できます。
親知らずについてお悩みの方は、名古屋市南区の歯医者やくし歯科・矯正歯科までお問い合わせください。
監修:やくし歯科・矯正歯科 院長 鬼頭 広章
所属学会
国際インプラント学会 ICOI Fellow
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯周病学会 会員
日本顎咬合学会 会員
日本デジタル矯正歯科学会 会員
日本臨床歯科学会 SJCD 会員
MID-G 理事
名古屋臨床咬合研究会 NOAH 理事
K-Project 会員
取得資格
USC(南カリフォルニア大学)JAPANProgram 卒業 東京SJCDレギュラーコース修了
OSG(矯正アレキサンダータイポドントコース)修了
ITIインプラントコース ベーシック、アドバンス修了
エキスパートハンズオンCAMLOGコース修了
NOBEL BIOCAREサティフィケート多数取得
インビザライン矯正 ベーシックコース修了
5D アドバンスコース修了
2017年 MID-Gレギュラーコース、マニュアルコース受講
矯正LASコース受講
歯周形成外科マイクロアドバンスコース受講
CSTPC受講
2021年 ODGC (矯正診断コース)修了
アライナーオルソドンティクス6デイズコース
明海大学国際インプラント学会認定コース
ハーバード大学歯学部日本CEコース
認定医
日本デジタル矯正歯科学会
日本顎咬合学会

052-811-1340